物流の総合デパート、日本通運さんがなんと20%の値上げです。
20%値上げといっても、すぐに、運賃が上がるわけではありません。
なぜなら、運賃には届出運賃と実勢運賃があり、日本通運のような法人主体の会社は実勢運賃を採用しているからなのです。
業界最大級の日本通運が値上げを実施した運送業界。
この先どうなってしまうのでしょうか。
日本通運は、なぜ運賃をあげたのか?
当社は、1990年(平成2年)に、貨物自動車運送に関わる各種法改正に基づき、旧運輸省が同年に認可した貸切運賃・料金と同内容をもってトラック貸切届出運賃として届出をし、今日まで当該届出運賃を据え置いてまいりました。
しかしながら、この間、経済情勢は大きく変化するとともに、排ガス規制や環境負荷低減への投資、社会保険料の負担増、燃油価格の大幅な上昇などのコストアップ要因が発生し、当社におきましても様々なコスト削減施策を講じてまいりました。さらに労働力人口の減少による人手不足の顕在化や今後様々なコストの上昇が予測されるなど、物流業界を取り巻く経営環境はますます厳しい状況になっております。
一般貨物自動車運送事業における貸切運賃・料金(届出運賃)の改定について(ホームページより)
普通の感覚からすると、平成2年から据え置いていたことにもびっくりでしょう。
だって、24年間届け出ていただ運賃は変わらなかったですよ。
プレスリリースにもありますが、運送会社は燃料高騰により非常に厳しい経営を迫られています。
軽油の平均価格
1990年9月 72円
2002年4月 80円
2014年9月 146円
山口県から東京都まで約1000km走るとして、燃費を概算で3km/Lとしても333Lもの燃料を使用します。1990から2014年までの金額差は24,642円です。
軽油だけではなく、トラックの本体価格はあがり、かなり厳しい状況です。
まだまだ古い運賃表を使っている運送業界
運送業は、運賃が届け出になってから業界内では
「平成2年の◯◯%で!」みたいなやりとりがありました。これは未だに残っています。
まだまだ昭和を使うところも少なくないのが実情です。
しかし、実際の運賃は、この届出運賃からかなりの乖離があります。
それが、実勢運賃と言われる相場できまる運賃なのです。
実勢運賃は、荷物を運びたい人と運送会社が個別に運賃を決める運賃です。
だから安い運送会社が出てきたとこに個別に契約をして値下げをしているケースが少なくありません。
だから、最初に書いたように、日本通運が20%の値上げの届け出をしても、すぐに運賃が上げることはありません。
実際に実勢運賃と届出運賃の差はどれくらいあるの?
各社届け出ている運賃が異なるため、なんともいえないのですが、大きくまとめると40%引き程度ではないでしょうか。
届け出で20万円の場合およそ12万円くらいです。
その差はなぜ生まれるのでしょうか。それにはいろいろな要因はありますが、規制緩和により競争相手が増えたからだと考えられています。
もちろん、運賃が下がることはいいことです。ただ、過剰に下がると、安全性が失われた会社が運ぶことになるかもしれません。
そのあたりの見極めが荷物を運びたい人にも必要ですね。
それではこの先、どうなってしまうのか
チャーター(貸切)にかんしては、ある程度の上昇は仕方ないと考えています。
なぜなら、先ほど軽油のことも出ましたが、人件費、車両価格などあらゆる経費が上昇しているからです。
食品などのように徐々に値上げをしてこなかった業界だからこそ、一度に大きな額を値上げしています。
しかし、一番大切なことは、荷物を運びたい人(企業)と運送会社のコミュニケーションが大切だと考えています。運賃が低いからという理由で、運送会社を変えたが「品質が悪い」「運んでくれない」からと言って元の鞘に収まることはよくあることです。
運送会社も自社の努力で物流の効率化を進めながら、物流改革をつづけ、選ばれ続けるということが鍵になってきますね。