規制緩和で展開されている米国のトラック業界再編の動きは熾烈です。
その様相は、規制で雁字搦め状態である日本物流会の未来図です。
そこで米国が施した州際輸送・州内輸送の規制緩和についてまとめてみました。
元々は日本の規制の方が進んでいた
1977年に当時米国大統領が規制緩和するまで
- 政府の強い規制
- 厳格な免許制
- 運賃規則
に代表されるように政府に保護・監視される程ガチガチな状態でした。
しかし、1994年にクリントン大統領が物流規制緩和に乗り出したのです。
これまで徐々に規制緩和してきたが、これを機に一変することになりました。
米国大手物流会社(フェデックス・UPS)の訴え
92年に航空宅配便大手のフェデックス社は
「自社のカリフォルニアでの営業は同州の運輸規則に拘束されない」
と連邦裁判所に訴え勝訴しました。
もちろん同業者は同じ恩恵が生じるべきです。
しかしフェデックス社のライバルであるUPS社は航空運送会社でなくトラック運送会社とみなされ同じような運輸規則は適用されていませんでした。
そこで同様の営業の自由を求めてUPSは連邦裁判所に審議を要請し、結果として認められたのです。
ここで黙っていられないのが同業他社のトラック運送業者で、相次いで「同様に運輸規則適用除外」の主張が大きくなった。
こうして州内の運送事業の規制緩和が制定された。
規制緩和がもたらしたもの
この条項の効果は絶大でした。
在庫、保管、管理コストの削減、運賃の削減など大きな削減効果が見られ、物流システムのスリム化に成功しました。
これまでは州内の輸送に規制が多い州内運賃回避の為に州外に物流センターを建設し、州際運賃を適用する事で低コストを図っていたがその必要も無くなったのです。
また、これまでのターミナル網を統合していくことで直行便方式・国際複合一貫輸送に力を入れ、これまでのビジネスモデルが規制緩和で一変することとなった。
危機感を抱く中堅のトラック会社
現在でも買収を望む会社は多くなっている。特定地域の短距離輸送に専念するためである。また、近年のIT革命により技術・情報面を通じ荷主とキャリアの距離は近くなっている。この2つの流れから大手か小規模かの両極化が更に進んでおり、どちらにも属さない中規模の会社の生き残りは厳しいという見方もある。
これからの運送業
米国と日本では物流でのコストや整備という点からみると必ずしも似ているとは言えませんが、規制緩和がもたらす変化は似てくる。
日本ではドライバー不足対策のため様々な動きもありますが、根本的な市場変化に対しての対応についても言及していく必要があり、ITをツールとして活かせる規制緩和の面からもアプローチする必要なのです。